本研究テーマは「大学の自己評価-教員評価のための授業評価-」であり、研究の展開は「教員評価がどうあるべきか」と「授業評価の基礎的性質の探求」の2面である。「教員評価がどうあるべきであるか」については、1996年度、大学教員に期待されることとして検討をおこなった。1997年度は主に授業評価の基礎的研究として、授業評価に及ぼす年齢の影響について検討を行った。授業評価の結果において、授業評価の総合評価は年齢ととものほぼ直線的に低下する傾向を示した。この原因を探るために30歳代と60歳代の各評価項目について比較を行った結果、「話し方、板書の仕方、学生の授業参加」の3項目に大きな差があることが明らかになった。学生のアンケートの結果から総合評価に最も影響の大きな項目は「話し方」であり、年齢により差の大きな項目も「話し方」であることが明らかとなった。したがって、授業において高年齢の教員の最も注意を払うべきことは「話し方」であることが明らかとなった。また、全体的な傾向として、年齢の高い教員の評価の差は主に授業テクニックにあり、一方比較的若い教員の評価の差は熱意にあることも明らかとなった。 本研究の最終目的は「教員評価において、どの程度、どのように学生の授業評価を活かすべきか」について検討し、結論を導き出すことであるので、大学教員の一般的考えを探るため本年度は大学教育学会の会員を対象として、教員評価についてアンケート調査を行った。
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