本研究の展開は「教員評価がどうあるべきか」と「授業評価の基礎的性質の探求」である。平成8・9年度は授業評価の性質として年齢と総合評価の関係、科目区分別評価、任用別評価などを明らかにした。平成10年度は教員評価の在り方について、評価項目やその比重について検討した結果、評価項目は教育評価、研究業績評価、社会サービス、学内運営でよく、その比重は40:40:10:10が妥当とした。また、教育評価の在り方についても検討を行い、評価項目を授業、研究指導、生活指導、教育に関する研究とし、その比重を60:20:10:10が適当とした。更に、授業評価の活用方法を目的として、授業の具体的目標を定めることについて検討をおこなった。東海大学では学部・学科を越えた共通の授業目標として「問題発見・解決型の人材の育成」を置き、これを達成するための条件として「学生の自己学修能力の育成」を挙げた。更に学生の自己学修能力の育成のために「教室外の学修を求める」ことを条件として挙げた。 以上のような授業目標を達成されるために、学科単位で計画書が作成され、これが東海大学の大学評価委員会という自己点検・評価を目的として設置された委員会により、大学の共通の授業目標にしたがって点検・評価された。このように授業の目標が学部・学科の枠を越えて、共通に設置されることにより、授業評価の項目はおのずから決定される。このように授業目標が具体的に定まり、この目標にしたがって、授業評価項目が定められたとき、初めて授業評価の結果が教員評価の資料として有効であることを示した。
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