研究概要 |
本年度は,3年継続研究の最初の年であり,次の2つの方法で「中堅教師の授業力量形成に関する研究」を行った。1つは,茨城県の5年目・小学校教師310名を対象に,「授業を設計するときの難しさ」「授業を実施するときの難しさ」「5年目研修への要望」などを主な内容とする質問紙調査を行った。もう1つは,茨城県内の5年目・小学校教師4名を対象に,各学期末にそれぞれの学期の「授業設計・実施・評価」「子どもに対する見方・考え方(子ども観)」「授業に対する考え方(授業観)」「学級経営」などの様子について面接調査を行った。 主な研究結果は,次の通りであった。 (1)5年目教師は,授業設計において,「学習課題を子どもにとって,身近で,興味のもてるものにする工夫」「子どもの個人差に応じた指導・援助の仕方」「導入の工夫」「学級の子どもの実態にあった授業展開の工夫」「発問の内容とタイミングの工夫」「教材開発」などの課題をもっていた。 (2)5年目教師は,授業実施において,「子どもの個人差への対応」「発問の仕方」「発表しやすい雰囲気づくり」「子どもたちの多様な考えのまとめ方」「予想外の反応への対応」「話し合いなどの学習活動の取り入れ方」「興味・関心をもたせる授業展開の工夫」「授業中の評価の仕方」などの課題をもっていた。 (3)5年目教師は,教職1・2年目の頃の「子どもはかわいいナァ」といった子どもの見方だけでなく,「ただかわいいだけでなく,難しいナァ」といった現実的な子どもの見方をするようになった。
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