研究概要 |
青森県の11年目の教師261名(小学校教師148名,中学校教師113名)を対象に,「授業設計・実施に関する質問紙調査」を実施した。さらに,徳島県と茨城県の10年目・11年目教師(小学校勤務)10名を対象に,「授業設計・実施・評価および子ども観に関する面接調査」を行った。そして、これらの研究結果をふまえて,中堅教師の発達課題を明らかにした。 中堅教師にとっての発達課題は,「学級の子どもの実態を考慮した」子どもの個人差に対応するための」授業づくり,さらには「子どもの参加意欲を高める」指導法の工夫のように,授業力量の幅を広げ,質の向上をはかるものとなる。なお,具体的な発達課題は,「授業設計(授業計画)」では,(1)学級の子どもの実態を考慮した,単元構成や学習指導案づくりをする,(2)必要に応じて,教科書にない内容で構成するオリジナルな授業づくり(つまり,単元開発)をする,(3)子どもの個人差に対応するために,個別学習や選択学習などを取り入れた授業づくりをする,(4)複数の単元構成や学習指導案づくりを試みる,(5)教材解釈や教材収集などの「教材研究」に十分な時間をかける,(6)「導入」「発問」「山場づくり」などを考慮した,メリハリのある授業展開を構想する。また,「授業実施(授業実践)」では,(1)子どもの個人差に対応するために,さまざまな手だてをとる,(2)予想外の子どもの反応に臨機応変に対応する,(3)子どもの発言へのさまざまな対応をはかる,(4)具体的活動やメディアなどを積極的に取り入れて,子どもの参加意欲を高める指導法の工夫をはかる,(5)「子どもの考えが深まる発問」「わかりやすい説明・指示」など,教授スキルのレベルアップをはかる,(6)子どもの発達段階や学級の実態を考慮しながら,学年の当初に授業ルーチンを確立する。
|