研究概要 |
新しい授業づくりにおいて中堅教師に求められる力量を,「総合的学習」の場合と「ネットワークを利用した授業」の場合において検討した。まず,総合的学習では,学校それぞれが独自のカリキュラムを開発するとともに,そのカリキュラムにもとづいて長期的視点にたって新しい授業づくりを行わなければならない。そこでは,通常の授業以上に,「発想力」「想像力」「構成力」「協調性(チームワーク力)」「個々の子どもを支援する力」「メディア・リテラシー」などの力量が教師に求められる。次に,インターネットなどのネットワークを利用した授業における教師の役割は,「子どもたちが教室や学校を越えて,実社会のホンモノの世界にふれようとするのを支援する」ことである。そこで,教師には,(1)文化的実践に対する教師自身の見方・考えた,(2)学習や学習環境に対する教師自身の見方・考え方,(3)どこにどのような人やモノがあるのかを把握する力(情報収集・整理能力)といった力量が求められている。 青森県と茨城県の担当指導主事を対象に,5年次・10年次研修の内容と方法についてインタビュー調査を行った。その結果,(1)初任研と5年次研との違いとしては,初任者には実施主体側からの指導的な側面が強いが,5年次研では受講者が課題を見つけて,自分から積極的に受講することを意識している点と,実践経験を踏まえている点があげられる,(2)5年次研と10年次研との違いとしては,両県とも,内容等に関して「深める」ことが意識されている点があげられる,ことなどがわかった。このように,中堅教師を対象とする基本研修では,それぞれの段階固有の課題を設定し,それにふさわしい研修内容と方法が模索されている。
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