本研究の目的は、複数のコンピュータ上にある環境型学習支援システムをネットワークで結び、遠隔にいる学習者どうしが共有する学習環境や個別に持つ学習環境を混在させた環境型学習支援システムを開発することである。このネットワークで結ばれた環境型学習支援システムでは、学習者が自身の考えを確かめるために作成した道具を相手の環境に送りつけ自身の考えを説明したり、相手の環境にある道具と連携して自身の環境にある道具を動作させて相手の考えを確かめたりすることもできる。このシステムの開発には、北海道大学で開発しているIntelligentPadシステムを用いて進めてきた。 本年度は、平成8年度に実現した学習教材の配送を基に、学習者や教授者が行った教材操作や教材に与えたデータを配送する仕組みを開発した。また、学習者や教授者が、これらの操作内容やデータをサーバコンピュータから自身のコンピュータ上に読み込むことによって、これを再現するようにしたため、再現した操作が衝突することはない。また、学習者や教授者のコンピュータがそれぞれサーバになることによって、学習者間や、教授者と学習者間でこれらの操作内容やデータを交換することができる。さらに、本研究では、この操作データを編集することによって、学習者が自身の考えを確かめたり、説明したりできるばかりでなく、新しい学習教材を作ることができることも示した。 本研究は、当初計画していた事項をほぼすべて実現した。また、学習者や教授者が行った操作内容の編集では、予定以上の成果を上げた。
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