すでに開発した研究用光音響顕微鏡システムを教育の分野で使えるようにするためには装置および運用価格の低コスト化と単純な操作法の確立が必要になる。そのため、光源としては最も普及しているHe-Ne気体レーザを、またマイクロホンとしては1個200円のコンデンサマイクを使用した。計測制御用のパソコンとしてはPC9801Eをリニューアル利用する方法を確立した。そのため、教育現場ですでに役目を終えた旧式のパソコンの有効利用ができることになり、費用と資源の再利用の点からも意義がある。計測制御ソフトは基本的にBasicを使い、一部機械語を使った。そのため小学生の高学年の生徒でも十分に使いこなせることになり、"理科ばなれいを抑制することに役に立つものと思われる。 企業と共同で研究開発したコンパクトなマルチアナライザーを教育現場へ転用することを検討した。現在までに電気回路や電子回路の実験教材への適用を試みた。具体的には正弦波や三角波および複合波を構成するスペクトルの周波数成分と振幅をフーリエ級数理論から求めた結果とマルチアナライザーで分析した測定値を比較する教材を開発した。またダイオードを使った半波整流回路の波形を計算値とアナライザー測定値との両面から比較検討する教材もあわせて開発した。最終年度はその内容を更に精査し、より完成度の高い教材をめざす。
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