研究概要 |
(研究目的) 障害児(者)の全人的発達を補償するため、近年急速な進展を見せている認知情報科学的方法と、多面的な生体情報の定量解析を行う生理心理学的手法の結合により、個別障害の枠を超えて統合的に障害児(者)の特性を解明し、障害児教育の基礎を確立する。 (研究成果) 1.心身障害児の認知情報処理に関する研究 認知科学的な刺激-応答場面と養護・訓練場面とにおいて、行動的指標と生理心理学的指標との対応関係を解析することが、障害児の"刺激受容・評価"から"反応決定・出力"わたる情報処理系の特性(処理資源,容量,処理様式など)の定量化に有効となる示唆が得られた。 1)心身の適応について(分担:氏森) GSR,心拍,脈拍等の自律反応は心理的適応状態を反映する。 2)環境認知について(分担:鮫島) 諸種感覚刺激に対する誘発電位は覚醒水準、及び情報処理様式と密接な関係を有する。 3)運動・動作について(分担:鮫島) 運動関連脳電位,筋電図,体性誘発反応によって、運動の発現・遂行・知覚特性を定量化できる。 4)意志の伝達について(分担:出口) 選択的聴取パラダイムによる音声知覚や、動作対話による非言語コミュニケーションの神経過程を事象関連電位で追及できる。 2.心身障害児の認知機能促進のための実験パラダイムの開発(分担:鮫島,氏森,出口,三田) 従来健常者を対象として提案されてきている認知情報処理的実験パラダイムを、ワークステーションの管理下でパーソナルコンピュータによって心身障害児に適用可能としたほか、ファイリングを主目的とする最新のディジタル多用途脳波計の性能向上を図り、オンラインデータ解析を可能とした。
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