研究概要 |
(研究目的) 障害児(者)の全人的発達を補償するため、近年急速な進展を見せている認知情報科学的方法と、多面的な生体情報の定量解析を行う生理心理学的手法の結合により、個別障害の枠を越えて統合的に障害児(者)の特性を解明し、障害児教育の基礎を確立する。 (研究成果) 1. 心身障害児の認知機能定量計測法の開発(分担:鮫島,三田) 認知生理心理学的研究の有力な研究指標である事象関連電位に焦点を当て、従来かなり高価なデータ解析装置で行われてきた分析の効率化と解析精度の向上を図った。 1) 事象関連電位の効率的計測 脳波データの高速・高精度解析が一般に普及しているパーソナルコンピュータ上で可能となった。 2) 事象関連電位の成分解析 事象関連電位波形の構成成分をANNを利用して、効率的に分離・精密計測する手法を開発した。 2. 心身障害児の認知情報処理特性の検討 認知科学的な刺激-応答場面において、行動的指標と生理心理学的手法との対応関係を解析することにより、障害児の″刺激受容・評価″から″反応決定・出力″にわたる情報処理系の特性(処理資源,容量,処理様式)についての定量化が実現した。 1) 環境の認知(分担:鮫島,三田) 短期記憶の走査や聴覚的音韻修復に関わる経時的中枢メカニズムを解明した。 2) 運動・動作(分担:鮫島,氏森) 発達による上肢運動特性の変化を2次元トラッキング動作解析により定量化した。 3) 意志の伝達(分担:鮫島,出口) 言語コミュニケーションの神経過程について、日本語単語の音韻・意味処理課題及び音読・書字課題による総合的追究を行い、音声科学の新しい研究法を提案した。
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