学校における環境教育を進展させるためには、具体的な教育計画・カリキュラムの検討と提示が必要不可欠である。また現状で環境教育としての目的がどのように達成されているかの点検・評価も必要である。このような認識から、本研究では学校における環境教育の実施状況を把握し、その分析・整理結果に基づき、小・中・高校を通しての体系的な教育計画を検討することを目的とした。全国規模のアンケート調査で合計986校の6599人の教員から回答を得た。さらに、250編の実践記録の分析から、どこで、何が、いかに、展開されているか、を把握し整理した。 ここ10年間で学校の環境教育に関する意識は大幅に向上し、多様な取り組みがみられること等が定量的に確認された。調査結果を要約すると下記のようである。 1. 学校における実施状況は活発であり、形式的・表面的な実践もあるが、量的には十分な取組が展開されてきている。 2. 環境教育の目的が、どのように達成されているか、といった質的な点では問題がある。教育条件・学習者の年齢などから学校での教育が重要で、有効といえる課題例えば、エコロジカルライフスタイルの習慣化や価値観の転換につながる内容の実践が少ないことなど。 なお、学校における環境教育の実施状況は、定量的に、また内容面も含めて、整理して、調査報告書No.1、No.2、No.3に纏め発表した。しかし、教育改革期で学校教育の新たな在り方が提示されたこともあり、具体的な環境教育プログラムを作成するまでには至らなかった。そういった点で、本研究は当初予定した目的を十分には達成することができず、今後さらなる検討を進めていきたいと考えている。
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