クロスカリキュラムは、教科、道徳、特別活動などを統合する新たな学校のカリキュラムである。平成8年度の中央教育審議会第1次答申によって「横断的・総合的な学習の推進」が提唱されたが、それはクロスカリキュラムとほぼ同様である。このことから、これまでの総合学習、合科等の名称で萌芽的に実践されてきた内容の実態調査を行い、これからの実際的な実施に向けての検討を行った。その実践には、大学附属校や全国の教育研究所・センター等の研究が含まれる。 現在の実践校の実施状況は中教審で提唱している国際理解、環境、情報、ボランティア、自然体験などのうち、その一部の内容をカリキュラム化していることが多く、将来的に学校の教育課程にどう位置づくか、課題は多い。その理由は、学校5日制下において実施時間に余裕がないこと、教科の垣根を超えるこへの抵抗感、国際理解・環境教育等の実施計画等の不備などである。 ただ、社会の変化に対応した教育課題への取り組みや子供の成長課題に応じた学習は、各教科が断片的に実施しても効果はあまり上がらないとする認識も高まっており、教科・道徳・特別活動をクロスさせながら総合的なカリキュラム構成を実施したいとする機運は高まっている。そこで、実践校では学習活動を「環境」「国際」「人間」等の観点から小単元によるカリキュラム構成を行い実践している学校もみられる。横断的・総合的な学習あるいはクロスカリキュラムは、学校の教育課程経営の課題として、各学校の主体的な取り組みに待つところが多いが、次期学習指導要領の内容にも大きな影響を与えるところからその実践化のための研究はますます重要視されると考える。
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