研究概要 |
全国共通語と地域言語との談話音声の対照分析を通して,地域における日本語教師の談話モデルを構築し,地域の日本語教育の活性化を目指すのが本研究の目的である。今年度は以下のような研究成果を得た。 1 東京方言と広島方言の教科書教材の談話音声の収集 日本語の教科書『しんにほんごのきそ』の第1課から第25課までの会話部分を,東京方言話者と広島方言話者のそれぞれにロールプレイをしてもらい,談話資料を収集した。東京方言話者とくらべて広島方言話者の後ろ上がり調が特徴的である。 2 広島方言の形容詞アクセントの研究 全国共通語の平板型語アクセントの形容詞が,広島方言において規則的に中高型になっていることを明らかにし,あわせて接続形のばあいのアクセントの移動についても明らかにしている。 3 方言とコードスイッチング-時間軸を中心に- 広島方言話者が,未知の人と会い談話を展開していく中で,どのような手順でどのような契機で,全国共通語から地域言語へコードスイッチングしていくかを,時間軸の上で考察した。 4 広島方言の複合語の語アクセント 広島方言の複合語の語アクセントの資料収集と先行研究の整理をした。 今後は,それぞれの課題を深めると同時に,文末の「か」の韻律に重点を置く予定である。
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