研究概要 |
ここ十数年間追跡調査している広島固定標本の継続調査を,今年も安佐医師会の協力により継続して調査し,体格と血清化学的計測値の収集を行った. 当面使えるデータ(男子793名と女子483名)に対して,出生時から成人までの身長の成長模型で乳幼児期のmid-growth spurtをも表現しうる成長模型を模索した.思春期や学童期の相対成熟度を基にして,mid-growth spurtをも表現しうる成長模型を提案した.この新しい模型は,これまでによいと言われていた成長模型JPA2と同程度以上にデータに対してあてはまりが良かった.また,昨年度提案した成長模型よりもあてはまりが良くなっている,しかし,模型には不自然なところがあるので改良を加える必要がある. 初潮時年齢と成人の身長との間には関連性はないと言われていたが,初潮時年齢と成人身長の間には,偏相関を考えると高い関連性がある.その関連性は初潮時身長または初潮時身長と成長完了時年齢とを一定にすると初潮時年齢と成人身長との間には強い負の偏相関がある.同様なことが,2つの生物学的現象に関する成長母数に付いても言えることが分かった.これは成長予測などに利用でき肥満予測や肥満型の成人病などの予測に応用できる. 経年的なアルカリフォスファターゼの値や総コレステロールの値は,成長速度曲線に関連がある事は判った.しかし,それを具体的に評価することは出来なかった.固定標本を経年的に追跡して資料の収集を図るために,計算機に不慣れな医師や看護婦でも出来るソフトウエアの開発を,一般社会に普及しているパーソナルコンピュータの上で行った.
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