研究概要 |
本研究の目的は,近年になって注目されている次世代のオブジェクト指向技術である自己反映計算の技術を応用して,新たなソフトウェアの部品化の手法を開発することであった.この手法を用いると,(1)部品同士が互いに複雑に依存し合うため,従来,部品化できなかったソフトウェアを部品化できるようになる.(2)部品の組み合わせとして実現すると,実行効率が低下するソフトウェアを,実行効率を低下させずに,部品の組み合わせとして実現できるようになる. 本年度は,OpenC++を使ってソフトウェアの耐故障性(fault tolerance)を高める機能を部品化する研究をおこなった.さらに部品化の対象となるソフトウェアの範囲を広げ,現状の自己反映計算の能力でもうまく部品化できないソフトウェアを部品化するに必要な基礎技術の開発を行った.具体的には,従来は部品化が難しいとされてきたオペレーティングシステムや分散ミドルウェアを対象に研究を行ない,ファイルシステムやネットワーク,分散オブジェクトシステムを部品化するための方策を探った. また,OpenC++のようにコンパイル時にメタプログラムを解釈実行する方式では,プログラムの実行時にしか行うことのできないソフトウェア部品間の保護を行うのは難しい.そのため,互いに保護を必要とするようなソフトウェア部品では,部品化することによって性能の劣化が起ってしまう.この性能劣化を押さえるため,部品間の保護を実現しながらも部品間の呼び出しによるオーバヘッドを削減できるような,仮想記憶機構を新たに開発を行った.
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