研究概要 |
本研究では,手書きインタフェースをサポートする計算機システムのためのソフトウェアアーキテクチャに関する研究を行った.本年度は,基盤となるオペレーティングシステムおよびミドルウェアの開発を行った. OSとしては,手書きデータの持つ多義性,多様性に対応できる拡張性を提供するように,設備として購入したIBM PC/AT互換機に,表示一体型タブレットを接続し,これらをサポートするマイクロカーネルとして実現した. 本マイクロカーネルは,データをすべてメモリオブジェクトとして扱うことが可能であり,タブレットや通信部分など,OS内部の資源や周辺デバイスのインタフェースもすべてメモリオブジェクトとして扱い,これらを同一のアドレス空間上に配置することで,コンテキストスイッチや通信データのコピー,変換などのオーバヘッドを減らした. また,手書きで生成される各オブジェクトに対応するメソッド呼出しは,リンケージテーブルとして抽象化し,ダイナミックリンカによる動的なリンク機構をシステム機能として導入した.これにより,手書きの各データに対応した言語処理系を動かすための複数のコンテキスト提供環境を作成した.実際に,この機構を用いてJavaの仮想マシンやMS-DOSのAPIを実現し検証した. 本研究による今年度の成果は次のとおりである. 1.手書きデータのための拡張可能なマイクロカーネルの開発 2.メモリオブジェクトに基づくOS資源の管理機構の実現 3.各オブジェクトに対応した複数の言語処理系を実行可能なコンテキスト提供環境の開発
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