研究概要 |
1.研究の背景と目的 (1)アルゴリズム・アニメーションを用いて,字句解析からコード生成までのフェイズのコンパイラおよびコンパイラ生成系の動きを視覚的に表示する.これにより,従来難しいとされていた構文解析アルゴリズムなどを講義等で実演して教育に役立てるほか,開発者が処理系を生成する際の直観的な理解を助けることができる. (2)ユーザが上で述べたアルゴリズム・アニメーションを利用しながら,対話的に言語処理系を作成することのできる統合的言語処理系開発環境を提供する.この中で,コンパイラ生成系への入力となる属性文法記述をアルゴリズミック・デバッギングに基づく手法で視覚的にデバッグするシステムを作成する.これにより,開発者が,字句解析からコード生成に至るまでのフェイズの解析や変換を視覚的な表示で確認しながら処理系を開発できる. 以上のように,使いやすい統合的言語処理系開発環境を提供し,こまれで言語処理系の開発者や学習者がコンパイラの動きのイメージをつかむことが難しかった点を克服することが研究の目的である. 2.平成8年度の研究経過 (1)コンパイラにおけるアルゴリズム・アニメーションに関連する手法をサーベイした.その考察を踏まえて,構文解析器に対するアルゴリズム・アニメーションのプロトタイプを生成系Bisonを利用して作成した. (2)統合的言語処理系開発環境の一部となるインクリメンタル属性評価の研究,C言語のサブセットを対象としたテストコンパイラの作成,アルゴリズミック・デバッギング用システムAkiの改良を行った.
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