本年度は下記の6テーマに絞って、昨年度以来のアルゴリズムとプログラム開発を継続した。 研究テーマ (1)電気的特性最適化配置手法に関する研究 (2)階層化並列配置手法に関する研究 (3)遺伝的アルゴリズムに基づく配置手法に関する研究 (4)領域分割型並列詳細配線手法に関する研究 (5)高密度詳細配線手法に関する研究 (6)並列処理の枠組みに関する研究 特に大きく進歩した(1)(6)の研究テーマの概要を示す。尚、これらの研究テーマの成果は論文発表可能なレベルにあるが、実データに対する評価が十分ではないため、現在実データを企業に提供依頼中である。 1.電気的特性最適化配置手法に関する研究 新規性は次の2点である。(a)制約値を目標値として扱い、最適化する、(b)確率的アルゴリズムを導入して、最適性を高める。問題は、高速マイクロプロセッサを設計するために電気的制約を最適化してチップのレイアウト設計を行うことである。従来、制約を「完全に遵守すべきもの」として取り扱い、制約以外の目的関数、例えば面積縮小などを大幅に悪化させていた。本手法では制約値を目標値として取り扱い、目的関数全てを調和させて最適化する。配置問題は組合せ最適化問題である。この種の問題では如何にして局所最適解から抜け出して大域的最適解に到達するかが重要である。本手法では、局所最適解から確率的に抜け出す手法を提案し、実験的にその有効性を予測した。 2.並列処理の枠組みに関する研究 本研究では開始以来様々な並列処理環境を調査し実験してきた。しかし、数年前に新しい計算機言語、Javaが提案され、それを利用したHORBという言語が提案された。本年度その言語を使用して、全処理が使用可能な並列処理の枠組みを開発し、実験によりその有効性を確認した。来年度以降、この枠組み上に配置配線の各処理を構築する。尚、この言語本分野への導入は例がない。
|