研究概要 |
自然言語対話を行いつつ,利用者に描画させることにより,自動的に,絵を含む知識を獲得する手法を開発し,創造性や表現力を育成するシステムを実現することを本研究では目指している.本年度は,図的コミュニケーション機構の設計と,文字的コミュニケーション機構の設計を中心に研究を進めた. 図的コミュニケーションにおいては,単に絵を描くだけでなく,それが知識表現として有用なものでなければならない.本年度は,パ-ツとなった絵を組み合わせることで物語を構成する手法と,簡易なプログラムによって絵を描かせる手法について研究を進めた.これらを,実際に子供に操作させ,その行動を分析した.後者は,子供にプログラムの作法を理解させるのが困難なものの,プログラムによって,図形の意味などが抽出されるため,有望であると考えられる. 文字的コミュニケーションにおいては,子供に物語を作成させることによって,子供の発想を豊かにすることを目指したシステムとクロスワードパズルの作成を通して,自由に言葉を想起できるようになることを目指したシステムを作成した.子供の利用を前提としているため,キーボードではなく,画面に表示された文字をマウスで選択する手法を考えた.特に前者において,物語作成のような自由に言葉や文を想起させるシステムが,子供の表現力を豊かにするという知見が得られている.これに関連して,入力された物語文の構造を解析するシステムを開発した. これらの研究成果を踏まえ,図的コミュニケーション機構と文字的コミュニケーション機構の利点を生かして融合した教育システムを実現し,実験的な検証を進めていく予定である.
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