研究概要 |
近年,情報システムの分野では,種々のレベルのセキュリティが大きな問題となってきている.顔画像認識をセキュリティ問題への適用するに当たって,比較的少人数を対象とした研究結果に基づいて,平成8年度は,対象とする人数を増やして実験を行った.顔画像認識の手法としてニューラルネットワークを用いている.顔の認識は情報量が膨大であるため,対象となる人数が増加するにつれて,認識率の低下と学習時間の増加が問題にる.本研究ではこれらの問題を解決するために,小規模のニューラルネットワークを並列に使用するシステムを構築した.このことによりローカルミニマムに陥る危険も減少した. 方法としては,最初に入力画像を,パターンマッチング法により幾つかのカテゴリーに分類する.次に各々のカテゴリーにおける画像を,小規模ニューラルネットワークを利用して,最終の判別を行う.システムに新しく一つのカテゴリーを追加する場合,既存のニューラルネットワークとは関係なく一つの新しいカテゴリーを含むニューラルネットワークを作りシステムに追加する.このことによりシステム全体の再学習が不要となる.小規模ニューラルネットワークの規模は入力層256,中間層128,出力層6のバックプロパゲーションアルゴリズムを用いた.認識の実験は20人(この場合10個のニューラルネットワークを用いている)をベースに21,22…と27人まで人数を増加させた.この場合,いずれも97.7%以上の認識率が得られた.
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