本研究は、広域ネットワークに分散する情報情報システムにおいて、個々の情報資源にアクセスする際の名前管理、名前の解決の大局的な方式の提案と実証を目的としている。ここで、情報資源とは具体的には文書、ファイル、画像等のマルチメディアデータベースシステムに格納されるオブジェクトを総称し、本研究では、WWWで使われるURLに対しURS(Uniform Resource Specification)という情報資源の属性を記述する記法を提案した。 研究の第一年目として、基本仕様の検討とプロトタイプ開発の基礎作りを行った。 まず、情報資源識別子の体系化を行い、個々の情報資源オブジェクトを一般的に識別するための体系の仕様を検討し、仕様を作成した。 本研究では電子図書館システムへの応用を念頭に置いているので、ページ画像やポストスクリプトで記述された本や雑誌、フルテキストで用意された記事等を対象として、より広いファイル等の資源とも整合の取れるような仕様として作成している。 次にプロトタイプ実装設計を行った。名前解決サーバの基本動作はURSを与えてその識別子を返す。そのため、URS解決のためにはルールベースのアルゴリズムを採用することにし、URS仕様との整合性を取りつつ、サーバ機能の設計を行った。 また、既存のHTTPサーバとの互換性も必要である。そのため、パブリックドメインにあるHTTPサーバソフトウェアを参考に、URSサーバと通信する機能を接続し、利用者側からは双方のサーバにアクセス可能なようなソフトウェアの設計を行った。 以上の一般仕様に基づき、ページ画像を蓄積する電子図書館システムのデータベースにアクセスするようなサーバに関して、一部実装を行った。この作業は次年度に継続する。
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