本研究は、広域ネットワークに分散する情報情報システムにおいて、電子文書などの情報資源にアクセスする際の名前管理、名前の解決の大局的な方式の提案と実証を目的としている。ここで、情報資源とは具体的には文書、ファイル、画像等のマルチメディアデータベースシステムに格納されるオブジェクトを念頭においており、本研究では、WWWで使われるURLに対しURS(Uniform Resource Specification)という情報資源の属性を記述する記法を提案した。本研究は、分散ディジタル図書館システムの構築の基礎となる研究である。まず、情報資源識別子の体系化を行い、個々の情報資源オブジェクトを一般的に識別するための体系の仕様を検討し、仕様を作成した。 本研究のソフトウェアはC1ient-serverモデルの元で動作するので、サーバにアクセスするためのプロトコルを定める必要がある。これには、基本的にはデータベースの問い合わせ言語に基づくプロトコルを援用でき、SQLが現在広く使用されている。しかし本研究では重負荷のc1ient-serverネットワークに適合した、より軽量のアクセスプロトコルの開発を行った。ANSI Z39.50を基礎としたものを採用することを念頭において検討した。 名前解決サーバの基本動作はURSを与えてその識別子を返す。そのため、URS解決のためにはルールベースのアルゴリズムを採用することにし、URS仕様との整合性を取りつつ、サーバ機能の設計を行った。また、既存のHTTPサーバとの互換性も必要である。そのため、パブリックドメインにあるHTTPサーバソフトウェアを参考に、URSサーバと通信する機能を接続し、利用者側からは双方のサーバにアクセス可能なようなソフトウェアの設計を行った。 以上のような研究から、名前解決のモデルの有効性を結論づけことができると考えており、さらに評価を詳細に行うことが今後の課題である。
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