新製品開発における原価低減システムは「原価企画」として普及しているが、これによって製品の価格を引き下げることはできる。しかし、同時に製品を差別化していってその品質を維持・向上させるのでなければ、その製品は消費者に受け入れられない。そこで、本研究では、原価企画を拡張し、製品の価格低減と差別化とを同時に達成していくシステムを開発するものである。 本研究は、平成8年度から10年度の3年間にまたがるが、その最終年度に当たる本年度は過去2年間に行った訪問調査と質問票調査の総まとめを次のように行った。 (1) 部品サプライヤーを含む広義の製品開発組織の代替案と原価企画の会計システムの代替案について、どのような組み合わせが製品開発で原価低減のパーフォーマンスを最も良くするか。 (2) さまざまな企業環境のもとでの原価企画と品質管理のシステムはいかなる組み合わせが最もよく適合するか。 (3) 製品開発における目標原価の達成の厳しさ(tightness)は、原価低減のパーフォーマンスにいかなる影響を与えるかを、質問票調査の結果および実験室実験の結果によって確かめる。 (4) 新製品開発に関するQFDとVEとの有効性の比較を行う。 (5) さらにQFDとVEの使用法において設計担当者の参加の程度やかれらに対する業績評価のシステムの違いの効果を確かめる。これらは質問票調査のデータで行う。 これらの研究の成果として4つの学会報告を行い、そのProceedingsにそれそれ発表し、また3つの論文を審査付き学術誌に投稿し、2つの論文を英国から出版する私の編著に収録した。
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