研究概要 |
本研究課題において今年度は,バーチャル都市の空間の中からとくにオープンスペースを採り上げ,その形状・配置が大きさの認知にどのような影響を与えるのかを実験を通じて分析した。また,そこから発展させ,われわれは一体どのように空地の広さを認知しているのかを捉える理論的考察を行った。 実験に際しては,3次元ステレオGISによるバーチャル空間で行った。このことは,空地以外の条件を一定に保ちながら,3次元的状況のもとで,現実の都市空間に即した擬似的な街並みを被験者に提示することを可能にした。この実験の結果,空地の形状・配置がその大きさの認知に与える影響について次の2点が得られた。(1)奥行き方向に長く取るよりも,進行方向に細長く取る方が,同じ面積であっても大きく認知される。(2)見える面積が大きくなる位置にあると,同じ面積であっても大きく認知される。また空地の認知構造に関しては,空地の大きさの認知は,われわれの頭の中で蓄積される面積によることが示された。すなわち,まず空地の存在を認識すると,自分がその空地の内部にいるか外にいるかを識別する。そして,内部にいると感じている間,その空地で目に入る最大の面積を頭の中で加算・蓄積していく。そのようにして認知された面積の大小が,われわれが捉える空地面積の大小を決定している。この理論的考察は実験結果から統計的に確認された。以上の結果は,空間の認知構造から見た空地の配置計画として,バーチャル都市の構築さらには現実世界の都市計画に有効な示唆を与えると考えられる。
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