本研究は、阪神淡路大震災の直後から現地において実施してきた交通行動の調査結果等を用いて交通や物資流動に関する分析を行い、震災後の緊急対応時における交通対応策を提示するものである。検討する対応策は、備蓄の規模と配置や、物資輸送の地域区分など、単なる交通流の制御にとどまらない統合的なものである。 1.データの収集-(1)今回の震災に関するものと、(2)防災計画立案のために別途必要なデータに分けて収集した。(1)としては、交通行動調査を現地で実施するほか、関係機関等が調査した既存のデータも収集した。(2)としては、パーソントリップ調査等の交通データのほか、防災用オープンスペース面積等の都市データも収集した。 2.データの解析-(1)震災データの解析:緊急活動における交通需要の詳細把握として、出動した車両、運ばれた物資等をすべて列挙した。また、震災直後の緊急行動パターンの類型化を行った。(2)防災計画立案のためのデータ解析:人の移動と滞留状況を、パーソントリップデータ等を用いてゾーン別・時間帯別に詳細に求めた。また、物資と人のバランスを計測するための基礎データとして、避難所・オープンスペースの配置や、オープンスペースての人員収容可能量等により、食料・水・医療物資等の需要量・供給量の基礎的データを作成。 3.検証すべき対応策の提示-備蓄等の交通量削減策、広域的非難の方法、救援物資の集配基地やライフライン復旧基地などの交通基地の配置などを内容とする具体的対応策を提示。 4.対応策の効果の検証-都市全体を対象とした人と物資のの移動状況に関してシミュレーションを行い、小ゾーン単位で計画目標の達成状況を示した。この際、総量を比較するだけではなく、時間経過に応じた流動状況をそれぞれの対応策ごとに示している。
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