研究概要 |
本研究は災害対応に関わる情報処理にGIS技術を援用し,災害発生後に空間総合管理による効果的な災害対応を可能にし,応急対策面へのリアルタイム地震防災の拡張を目的としている.阪神淡路大地震の被災地では,公園,学校園庭,運動施設などのオープンスペースがさまざま目的に利用された.そこで本研究ではオープンスペースの規模や付帯建築物の種類や規模および震災発生からの時間的経過に応じて,被災地内の空間が担った用途とその際に生じた問題点を,西宮市を対象として被災者及び各種機関の災害対策担当者とのグループディスカションを通じて明らかにした.その結果,利用可能な空間データベースが未構築であった点.空間利用に関する調整をはかる機関が存在していなかったことが問題点として明確化できた. ついで,総合的な空間情報管理システムのプロトタイプ,システムの構築を京都府宇治市を対象として開始した.プロトタイプシステムの構築にあたっては,対象となる空間データベースの完備と,それらをGISによって統合的に可視化するための基盤としてデジタルマップの存在を前提とする.宇治市では紙ベースではあるが「都市情報ファイル」として市域内の空間データベースが管理しており,デジタルマップも大阪ガスが自社システム用に市域の大部分についてデシタルマップを作成している.宇治市・大阪ガスの協力の下,プロトタイプの構築を行い,GISによる総合的な表示機能の開発を終了した.同時に,今後のデータ更新体制のあり方についても検討を加え,行政当局者の持つ縦割り体制がこうした試みのボトルネックであることが明確化できた.
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