研究分担者 |
那谷 晴一郎 大阪市立大学, 工学部, 助手 (20047369)
小林 治俊 大阪市立大学, 工学部, 助教授 (40047395)
園田 恵一郎 大阪市立大学, 工学部, 教授 (70047108)
東田 淳 大阪市立大学, 工学部, 助教授 (90128744)
高田 直俊 大阪市立大学, 工学部, 教授 (50047239)
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研究概要 |
兵庫県南部地震では,衝撃的鉛直動によって破壊したとみられる構造物の位置や,そのような地震動を経験した証言者の居住範囲は気象庁震度7の地域とほぼ一致しているが,この地域には地震記録はほとんどなく,鉛直動についての詳しい波形情報は得られていない. しかし,本研究組織の構造工学を専門とするグループは,現地調査で得た多くの構造物に関する破壊モードの分析を行った.その結果,高架橋の鉄筋コンクリート(以下,RCと略称する)橋脚,地下鉄駅舎のRC柱,RC建築物の中間層の破壊等は,硬質地盤に支えられた基礎工からの衝撃的な突き上げ力によって発生したものであるとの結論を得るに至った.これを検証するために,モデル実験によって破壊モードの再現を試み,数値解析によって破壊モードと入力動との関係を調べた.さらにモデル実験に基づいた数値解析によっては,衝撃的破壊が実物大モデルで発生するために必要な入力地震動の条件について検討した. 一方,地質および地盤を専門とするグループは,強震域およびその周辺の地下構造や地盤特性の解析を行い,これらと同地区に居住する多くの市民が体験した衝撃的鉛直動(または力)との関係を調べた.また,地盤の非線形特性,とくに地表面の鉛直地震動と深く関わる地盤のP波の非線形特性に着目した研究を行った.これらの結果から,衝撃的鉛直動は,下方からの強烈なSV波が地表面付近の地層境界でP波に変換される際,非線形効果によって,短周期化されて生成されたと推定された. 以上のことにより,今回の兵庫県南部地震のような直下型地震では,衝撃的な鉛直地震の卓越する地域が地盤条件によって局所的に存在し,これが構造物の引張り破壊を生じさせた可能性があることを指摘した.
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