小型のYAGレーザーを励起源としたX線レーザーの実験を行った。 1)X線増幅の確認 プラズマ中の観測位置やプラズマ長を変えて、AlLi様イオンの3d-5f遷移(105.7Å)および3d-4f遷移(154.7Å)のスペクトル線強度を測定することにより両者の遷移における軟X線の増幅を確認した。3d-4f遷移いついてはその利得係数が3.2cm^<-1>であり、1ns以上の間持続していること、さらに利得が生じている場所がターゲット表面からの距離0.2mm〜0.4mmのところに存在することがわかった。このことは、数cmの間隔で設置した共振器ミラーで上記X線レーザー媒質をはさんでやれば、増幅に十分な回数X線が往復できることを示す。 2)X線ミラーによる往復増幅実験 3d-4f遷移(154.7Å)のスペクトル線に対し直入射反射率が30%である多層膜X線反射鏡を線状プラズマの軸上の一方の端に設置して往復増幅実験を行った。X線ミラーを使った場合の軟X線スペクトル強度が、ミラーを使わない場合の約3倍に達する結果を得ることができた。 3)X線共振器実験 2枚のX線ミラーを使って不安定共振器を構成する。ここでは観測器側のX線ミラーに取り出し開口を設けた。共振器を働かせた時、X線強度が約7倍に増加した。またそのときの増幅X線の時間発展の様子を簡単な光線追跡計算で計算したところ、1)で観測された利得の持続時間と領域を仮定して始めて実験結果を良く再現する波形が得られることがわかった。 以上のように初めてX線レーザーの共振器の効果を確認することに成功した。
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