研究概要 |
有望な環境適合型エネルギーシステムと思われるMHD/ガスタービン/蒸気タービン複合発電システムの基本構成要素であるMHD発電機の動作流体としての知見を得ること,その実験手段として高速スペクトル分光法と可視化法を確立することを目的に研究を行った. 高速分光光学系として,火炎の輻射および参照ランプの透過吸収光を直交する2つの偏光成分として分離しこれらを同時に計測する二光路偏光輻射・透過吸収分光装置を試作し,カリウムシ-ドアセチレン酸素燃焼プラズマの分光解析を行い試作装置の性能検証を行った.著者が提案する光学厚さと原子吸収係数の関係式(Depth-AAC Relationship)をデータ解析に適用しカリゥムの光学衝突断面積として妥当な値を得た.これによりDepth-AAC関係式を実験的に検証すると共にそのための適切な波長選択条件を明らかにした.次に石炭合成ガス模擬した一酸化炭素・水素・酸素燃焼プラズマの温度,カリゥムの光学衝突断面積,カリウム濃度を求めた.火炎温度は当初予想値より低かったが,この燃焼では酸素当量比1以下の燃料希薄燃焼条件で火炎温度がより高くなるとの新知見を得た. 可視化実験では,光学厚さが薄い燃焼火炎の2次元局所カリゥム密度を火炎の画像イメージから求める算定式を導出し実験検証を行った.最後に燃焼プラズマの速度分布可視化法として磁気共鳴映像法(MRI)に着目し,衝撃波加熱プラズマの速度分布の可視化実験を行った,そのために音速領域の流れに対応できる新たなエコープランナーパルスシーケンス(MEPS)を考案した.実験で求めた速度分布はMHD起電力の値とよく一致し空間分解能も高くMEPSの有効性を検証した.
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