研究概要 |
本研究は,気泡流の多次元的な流動特性を解明し,モデル化することを目的として実施している.本年度は,昨年度開発した超音波流速分布計測計とビデオ画像処理法を併用した計測システムを発展させ,デジタルカメラを用いた画像処理法を開発するとともに,超音波流速分布計測計から得られるデータを統計処理するソフトを開発し,垂直矩形流路内を流れる気泡上昇流に適用し,気液両相の流速分布,ボイド率分布,連続相である液相内の乱れの強度分布,並びに,平均気泡径を調べる研究に適用し,下記のことを明らかにした. (1)気泡流の十分発達した領域では,流れは連続相である水の流速分布に支配され,水の流速分布は,水単相流に比べると平坦であるが,水流量の増加に伴い流路中央に向かって高くなっていく. (2)気泡の速度は,水の速度に対して浮力と界面の抗力の差により定まるため,流路断面内でほぼ一定である気液相の速度差を水の速度分布に加算させた分布形状となる. (3)気泡流のボイド率分布は,ボイド率が0.5%以上では流路中央に向かって増加する山型分布を,0.4%以下では流路中央で減少する鞍型分布となる. (4)気泡流における気泡の存在は,連続相である液相の乱れを促進する撹乱効果と減衰させる散逸効果がある. (5)気泡の存在は,鞍型のボイド率分布が現れる場合には乱れの散逸効果が卓越し,乱れの強度は水単相流の場合に比べて小さくなる.一方,山型のボイド率分布が現れる場合には撹乱効果が卓越し,乱れの強度は水単相流の場合比べて大きくなり,ボイド率が増加するほど,壁面から離れるほど気泡の存在は乱れを促進させる.
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