研究概要 |
(1) 気泡流のボイド率分布は,水相の流速分布が平坦なため,壁近傍を除けばほぼ平坦となる.低ポイド率条件下の気泡流では,水流量が高い場合には流速分布は流路中心に向かって低くなり平坦となる鞍型分布を呈し,水流量が低い場合にはボイド率分布は平坦であるが中心で高くなる. (2) 水に比べて空気の体積流量は小さいため,空気の流速が増加しても気液両相の流速分布は殆ど変化しないが,ボイド率は空気流速の増加に伴い大きくなり,水の流量が増加すると,対向流では気泡の上昇速度は低下してボイド率は増加し,並行流では逆に気泡の上昇速度は増加してボイド率は低下する. (3) 連続相の主流速度の乱れ強度を水単相流の乱れ強度の比を乱れの促進効果と定義する.気泡の存在は乱れの撹乱効果と散逸効果があり,ボイド率が約0.3%以下の場合には乱れの散逸効果が卓越し,0.5%以上ではボイド率の増加するほど,並び,壁面から離れるほど乱れを促進する. (4) UVPによって計測された瞬間速度分布から,気泡表面を座標軸とする座標変換を行い,液相の流速変動の確率密度分布を求め,流速変動に対する1次から4次モーメントを求めた.それらの分布を分析することにより,気泡周りの液相の流れの構造は,気泡の上昇挙動にのみ影響される境界層,気泡の上昇挙動と水の主流部の流れの双方に影響される遷移領域,並びに,気泡の上昇挙動の影響を受けない主流部に分類できることを明らかにした. (5) 気泡表面に沿う境界層は気泡の挙動に強く依存し,その厚さは,平均気泡径に比例して増加し,ボイド率(気泡間距離)の増加にともない僅かに減少することを明らかにした.そして,境界層の厚みに関する経験式を得た.
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