研究課題/領域番号 |
08458142
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
環境動態解析
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
永田 俊 東京大学, 海洋研究所, 助教授 (40183892)
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研究分担者 |
小川 浩史 東京大学, 海洋研究所, 助手 (50260518)
小池 勲夫 東京大学, 海洋研究所, 教授 (30107453)
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研究期間 (年度) |
1996 – 1997
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キーワード | 海洋 / 溶存有機物 / 細菌 / タンパク質 / 炭素低環 / 加水分解酵素 / 温室効果 / 分解 |
研究概要 |
海洋中の溶存有機物は、陸上植生、土壌有機物と並んで、地球上の3大有機炭素リザバ-のひとつの数えられている。その変動は、グローバルな炭素フラックス、さらには、大気中最大の温室効果気体である二酸化炭素の年-100年スケールでの変動にも影響を及ぼしうる.本研究の目的は、海洋における溶存有機物の蓄積メカニズムを、微生物生態学と地球化学を融合させた学際的なアプローチを用いて実験的に解明することである。生体ポリマーとして最も重要な成分である、タンパク質を材料とし、海水中における、膜、可溶性タンパク質の分解過程に関する実験的な解析を行った。新たに開発した2重標識トレーサー法を用いて、微生物分解速度定数の違いを求めたけった、膜タンパク質の分解速度定数を溶存タンパク質のそれに比した著しく低いことが始めて実験的に証明された。また、膜の除去により、タンパク質の分解速度定数が高まることも示された。これらの結果は、膜・壁成分による立体障壁が、海水中のタンパク質の保存機構として重要であることを強く示唆している。また、近年、地球化学的な観測により見出された。海水中に膜たん白質が多量に蓄積しているという現象もよく説明できると考えられる。さらに、分解の時間変化の解析から、膜一タンパク複合体を破壊するために、海洋細菌が多様な加水分解酵素を合成することも示された。以上の知見は、海洋における溶存有機物の変動をモデル化するうえで重要な意義を有する。
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