局地気候環境を数値モデルで再現するには、地形や地表の複数な変化を取り入れてモデル化するものでなければならない。一方、局地気候は、そうしたスケールの小さいことだけに影響されるのではなく、大きなスケールの現象にも影響を受ける。従って、それら二つのスケールを同時に扱うことが必要である。しかし、大きなすけ-るの現象をも含めて高分解能で計算すれるには、膨大な計算機資源を必要とするので、事実上、不可能な要請である。それで、関心のある領域だけでも分解能を高くして、局地気候を二つのスケールの効果を含む形で表現できる計算手法はないか、という現実的目的で本研究を行っている。 その一つの手法として、ネスティングと呼ばれるモデリングの方法があり、この方法の問題点などを詳しく検討することから研究に着手した。先ず、水平2次元のバロトロピック流体を考え、絶対渦渡保存とβ平面近似などを仮定して、ネスティング領域を取り入れた数値モデルを作成し、その領域内でどの様に小規模現象が表現されるかを確かめるための数値実験を行った。 その結果、領域の境界付近で計算ノイズが多少生じるものの、比較的滑らかに計算は進めることはでき、ネスティングの方法は、安定した計算手法であることが分かった。大切なことは、大規模な現象が、その領域内に如何に滑らかにしたも制度良く表現されるか、ということである。これについては、大規模の場がどういん性質の場であるかに多少の違いが生じるようてあるけれども、予想以上に滑らかに領域内に大規模場の情報が伝播することが確認でき、これにより、今後の研究に展望が開けていると期待できる。
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