大気中ベンゼンの測定と人への健康影響評価に関する研究

1996 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 08458150
• 研究種目: 基盤研究(B)
• 研究機関: 横浜国立大学
• 研究代表者: 中西 準子 横浜国立大学, 環境科学研究センター, 教授 (10010836)
• 研究分担者: 鈴木 則之 金沢工業大学, 工学部, 講師 (40196853) ; 花井 義道 横浜国立大学, 環境科学研究センター, 助手 (00114984)
• キーワード: ベンゼン / 大気汚染 / 発がんリスク / 窒素酸化物 / 費用

研究概要

窒素酸化物(NOx)の全国での常時監視データを基に、ベンゼンの全国での濃度分布を推定し、ベンゼン曝露によるポピュレーションリスクを評価することを目的とし、ベンゼンとNOxについて同時に連続測定を行い、濃度相関を求めた。
96年前期(5月下旬〜7月上旬)に、横浜国立大学環境科学研究センター1階にて連続測定を行ったが、付近を通行する自動車廃ガスの影響により、大気中濃度の正確な把握ができなかった。
そこで、96年後期(10月〜11月)に、横浜市内3地点にて、24時間体制で大気測定を行った。その測定結果を基に、ベンゼン及びNOx濃度について回帰分析を行い、両者の濃度相関を求めた。数種類の回帰式の適用を試した結果、ベンゼン濃度(x)とNOx濃度(y)との間には、y=73.6x0.68の相関式が得られ、決定関数もR2=0.58と比較的高い相関性を示した。しかし、測定データ数の不足や、一般環境濃度に対応する低濃度の測定値が得られていないことにより、現時点では、濃度相関の信頼性は完全とはいえない。
今後の予定としては第一に、年間を通じて、測定データの集積をしていくことにする。また、時間帯、季節、気象条件等、様々な因子の影響を考慮しつつ、測定データの解析法についても改善を進め、濃度相関を更に詳細に検討する。その上で、ベンゼンのリスク評価を正確に行うことを目的とする。

研究成果

• [文献書誌] 中西準子: "大気汚染とリスクアセスメント" 大気環境学会誌. 31. A144-A153 (1996)
• [文献書誌] Suzuki,N.,Yasuda,M.,Sakurai,T.and Nakanishi,J.: "Modeling the Profile Transformation of PCDDs and PCDFs in the Environment" Organohalogen Compounds. 28. 16-19 (1996)
• [文献書誌] Sakurai,T.,Suzuki,N.,Masunaga,S.and Naknaishi,J.: "Application of Principal Component Analysis to Isomer-specific Data Matrix of PCDDs and PCDFs" Organohalogen Compounds. 28. 314-319 (1996)
• [文献書誌] Asami,M.,Suzuki,N.and Nakanishi,J.: "Aquatic Toxicity Emission from Tokyo : Wastewater Measured Using Marine Luminescent Bacterium,Photobacterium Phosphoreum" Water Sci.Technol. 33. 121-128 (1996)