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1998 年度 実績報告書

水界生物のストレス応答と食物連鎖に基づく水環境因子の影響評価

研究課題

研究課題/領域番号 08458157
研究機関東京薬科大学

研究代表者

三浦 卓  東京薬科大学, 生命科学部, 教授 (70013323)

研究分担者 松原 チヨ  東京薬科大学, 生命科学部, 教授 (10057309)
山形 秀夫  東京薬科大学, 生命科学部, 教授 (20023468)
都筑 幹夫  東京薬科大学, 生命科学部, 教授 (70155430)
キーワード生態系 / 水生生物 / クラミドモナス / ミジンコ / ユスリカ / ヒ素 / ストレス応答 / 遺伝子発現
研究概要

水界生態系を構成している生物種について水環境因子に対する応答を総合的に、しかも鋭敏に検出するために、水環境中の化学物質の影響とそれらにより特異的に発現する遺伝子の検索を行うために各種の水生生物についてヒ酸への耐性機構を検討した。
1) 前年度までに緑藻クラミドモナスからrandom insertion mutationにより得られたヒ素感受性及び耐性株の性質について検討し得られた耐性株はいずれもヒ素蓄積量が極めて少ないということを明らかにしてきた。本年度は、耐性株のうちAR3株についてヒ酸取り込み活性を検討した。その結果、AR3株では、ヒ酸を競合的に取り込むと考えられるリン酸トランスポーターのうちリン酸低親和性型のトランスポーターの一部が欠損している可能性が示唆された。
ヒ素は、水生生物に対してメチル化反応を誘導すると考えられるが、ヒ素の取り込みが高い株を作成し、in vivoにおける無機ヒ素のメチル化について検討したところジメチルヒ素が検出された。これらの結果から、本研究はクラミドモナスにおけるヒ素の取り込み、生物濃縮並びにメチル化反応機構の解明に有効と考えられる。
2) ユスリカのヒ素耐性機構を解明するためにヒ酸の取り込みを調べた。0.5mM ヒ酸では6時間目にヒ素含量は最高となり、以後低下した。1mM ヒ酸では取り込みは早い時期に起こったが、取り込み量はむしろ少なかった。取り込まれたヒ素の存在形態を調べた結果では、メチル化ヒ素は検出されなかった。これらの結果から、多くの生物で起こっているメチル化によるヒ素の無毒化は、ユスリカでは起こらず、他の耐性機構の存在する可能性が示唆された。
3) 海洋動物である二枚貝は、食物連鎖を通してヒ素を高濃度に濃縮していることからエラ中に生息している微生物によるヒ素化合物のの代謝を検討した。筋肉中の主要なヒ素化合物アルセノベタインは微生物により分解を受け、トリメチルアルシンオキシドみに返還することを見いだし、海洋生態系における元素循環の一部を解明することが出来た。

  • 研究成果

    (4件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (4件)

  • [文献書誌] Kaise, T., Matsubara, N,: "Biotransformation of arsenobetaine to trimethylarsine oxide by marine microorganisms in a gill of clam" Chemosphere. 13. 443-449 (1998)

  • [文献書誌] Kaise, T., Matsubara, M,: "Accumulation of arsenic in a unicellular alga" Appl. Organomt. Chem.13. 107-111 (1999)

  • [文献書誌] Ohta, T., Yamagata, H.: "An assay system detecting environmental toxicants with cultured Cladoceran eggs in vitro" Environ, Res.77. 43-48 (1998)

  • [文献書誌] Yamagata.H. et al: "Heterogeneity and differential expression under hypoxia of two domain hemoglobin chain s in the water flea" J.Biol.Chem.in press.

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公開日: 1999-12-11   更新日: 2016-04-21  

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