研究概要 |
(1)ハイブリッド下水処理システムに処理機能 前処理としての凝集沈殿処理により下水中の有機物とリンの除去を促進し、後処理の生物膜処理により残存有機物とアンモニア性窒素を酸化するハイブリッド下水処理システムの処理機能を、凝集沈殿装置として噴流攪拌固液分離装置(JMS),生物膜処理装置として回転生物接触装置(RBC)を用いた処理能力100m^3/日程度のパイロットプランによって検討した。水理学滞留時間を45分、凝集剤としてAlを5ppm添加したJMSにおいて、有機物の70-80%が除去され、リンも90%近く除去された。RBCでは水量負荷が100L/m^2/日の条件で、処理水のBODとSSは10ppm以下となった。前段の凝集沈殿処理で生物処理への有機物負荷を削減し、さらに省エネ型のRBCを用いることにより、単位処理水量当たりの生物処理の所要電力を0.07kwh/m^3と極めて低くできた。 (2)植物根が分泌する酵素による汚泥中のリンの可溶化 ル-ピンの根から分泌される酸性フォスファターゼと有機酸は、根表面から2.5mmの範囲内に分布しており、根に近い部位ほど存在量が多かった。分泌された酸性フォスファターゼは都市汚泥及び土壌に含有される有機態リンを効率よく無機リンに分解して無機リンを溶出し、有機酸は難溶性の無機態リン酸化合物からリン酸を溶出した。分泌された有機酸種としては、クエン酸が最も多く、リンゴ酸がそれに次ぎ、シュウ酸も微量に分泌された。ハイブリッド下水処理システムの凝集沈殿処理プロセスから排出された汚泥中のリンの形態を分析した結果、汚泥中のリンは4形態(acid-soluble,phospholipid,nucleic acid,phosphoprotein)に分類できた。凝集沈殿汚泥中のリンの約60%を占めたacid-solublepは有機酸によって可溶化された。
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