研究課題/領域番号 |
08458160
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
渡辺 義公 北海道大学, 大学院・工学研究科, 教授 (00040999)
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研究分担者 |
岡部 聡 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助手 (10253816)
但野 利秋 北海道大学, 農学部, 教授 (40001440)
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キーワード | 下水処理 / ハイブリッドシステム / 再利用 / 生物膜 / リン回収 / フォスファターゼ / 凝集沈殿 |
研究概要 |
(1)噴流攪拌固液分離槽(JMS)の最適化:流体は非圧縮性として、連続の式、運動量の式、体率輸送式を基礎式として、JMSの多孔板の孔形状とJMSの流況の関係をシミュレーションにより定量化した。JMSの固液分離機能は、水平方向の乱れが大きい程フロック形成が促進され、垂直方向の乱れが小さい程フロックの沈殿に有利であるとして、垂直方向に軸を持つ過度の総和が大きく、水平方向に軸を持つ渦度の総和が小さいほど、JMSの固液分離性能は高いとした。孔形状として、(1)従来型の丸孔、(2)縦スリット孔、(3)横スリット、を設定した。シミューションの結果から、縦スリット形状を横に並べた配置が最適であると判定した。来年度にこの結果を実証する。 (2)鉄とシリカを重合した新凝集剤の効果と凝集汚泥からのリンの回収:S社が開発中の新凝集剤を下水の凝集沈殿処理に適用して、多用されているポリ塩化アルミニウム(PAC)、塩化鉄、硫酸鉄、との凝集効果を比較した。鉄・シリカ重合凝集剤SIFと称す)は鉄含有量を一定にしてシリカ含有率を変えて生成した。シリカ含有率が鉄の1、3倍とした場合(SIF-1,SIF-3)における下水の凝集沈殿処理実験をJMSの水理学的滞留時間を90分で行った。SIF-3の場合、鉄として5mg/Lの添加でpH無調整(中性付近)の条件でも濁度、TOC、全リンの除去率はそれぞれ約90%、80%、90%であった。これはPACと同等の効果で塩化鉄と硫酸鉄よりはるかに効果的である。SIF凝集汚泥、PAC凝集汚泥、塩化鉄凝集汚泥中のリンを植物が分泌するフォスファターゼで抽出した結果、SIF凝集汚泥から約5mg/g dry sludgeの全リンが抽出できた。PAC凝集汚泥と塩化鉄凝集汚泥からはそれぞれ約0.3、1mg/g dry sludgeであった。 (3)生物膜の構造と機能:生物膜処理装置の効率向上を目指して、生物膜の構造と機能の関係を、共焦点レーザー走査型蛍光顕微鏡、Flourescent In Situ Hybridization法、画像解析を用いて明らかにした。その結果、生物膜内には水流が存在し、分子拡散以外の移流による物質移動機構がある事、生物膜内におけるアンモニアの酸化はほとんどが直径10μm以下の形態のアンモビア酸化細菌によって行われ、クラスターの大きさはアンモニア負荷、膜近傍の水理条件により主に決定される事を確認した。
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