研究課題/領域番号 |
08458160
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
渡辺 義公 北海道大学, 大学院・工学研究科, 教授 (00040999)
|
研究分担者 |
木村 克輝 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助手
岡部 聡 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助手 (10253816)
但野 利秋 北海道大学, 農学部, 教授 (40001440)
|
キーワード | 下水処理 / 凝集沈殿 / 生物膜 / 膜分離 / ファウリング / フミン質 / リン / ファスファターゼ |
研究概要 |
(1) 凝集・高速固液分離・生物酸化を組み合わせた高度下水処理システム 固液分離プロセスの更なる効率化のために、JMSの多孔板の孔の形状が固液分離性に及ぼす影響について解析して、円孔よりも縦スリット孔が有効であることを明らかにした。凝集剤としても、凝集沈殿汚泥からのリンの回収も考慮して、多用されているアルミニウム系に代わる新しい鉄系のPoly-Silicato-Iron(PSI)の有効性を検討し、凝集pHを6.5とすればAlと同等の添加濃度で同等の凝集効果を持つことを実証した。 (2) 生物膜の構造・機能解析による硝化機能の向上 下・廃水からの窒素除去を担う生物膜内の硝化細菌を対象として、16rRNA,を標的とする蛍光遺伝子プローブを用いたFISH(Fluoresent In Situ Hybridiution)法と共焦点レーザー走査型顕微鏡による画像解析を併用して、原水の有機物とアンモニア性窒素の濃度比(C/N)と生物膜形成時間が硝化細菌の種類と菌密度について研究した。アンモニア酸化細菌の優占種についての検討し、生物膜内には異なる生理特性を持つ様々なアンモニア酸化細菌が混在し、水質の変化に対応して菌相が入れ替わり、結果として生物膜のアンモニア酸化は安定して維持されることが明らかとなった。 (3) フミン質による膜ファウリング機構 フミン質と濁質が共存する高色度河川水で高度下水処理水に近い水質の千歳川をサンプルとして、回分膜ろ過実験によってUF膜のファウリング特性を明らかにした。高色度原水のUF膜ろ過では、フミン質が膜ファウリングの主原因物質である。膜ろ過で発現するファウリングに由来する抵抗を、(1)ケーキ層抵抗、(2)濃度分極層抵抗、(3)吸着抵抗、に分けてそれぞれを個別に定量化する方法を提案した。フミン質と濁質が共存すると高分子フミン質が大きな濁質粒子の間隙に入り込み、大きなケーキ層抵抗を発現する。膜細孔より大きい高分子フミン質によるケーキ層抵抗を、フミン質濃度の異なる濁質を含まない原水をろ過した場合の実験データを、Ruthのケーキろ過式を変形した式によって解析し、提案した膜ファウリング機構を検証した。 (4) 植物根分泌酸性ファスファターゼの遺伝子解析、機能評価 P処理を施したルーピンの根のRNAから、APaseをコードする2種類のcDNA,LASAPlおよびLASAP2ぎ単離した。LASAPlは細胞膜・壁に存在して根の表面に到達する有機態リン酸化合物を分解し、LASAP2は根から分泌されて有機態リン酸化合物を分解する機能をもつことが示された。
|