地球温暖化の原因とされる温室効果ガス(二酸化炭素(CO_2)、メタン(CH_4)等)を大気中から、あるいはその発生源で高い効率で分離回収することは、緊急に確立されるべき重要な基礎技術と目されている。膜分離法はエネルギー消費量が極めて少ないため、高分離・高透過膜が開発されれば温室効果ガスの分離回収法として最も有効な手段となる。本研究では、新規に合成した芳香族ポリイミド超薄膜により温室効果ガス、特にCO_2、CH_4の高効率分離システムの開発を検討する。本年度得られた研究成果は以下の通りである。 (1)電子受容性基、電子供与性基を主鎖構造に有する新規芳香族ポリイミドを合成した。得られたポリイミドは有機溶媒に可溶となり、膜形成が極めて容易となった。 (2)気体透過性を向上させるため、欠陥がなく分離活性層をできるだけ薄くすることは、高性能膜を得るうえで重要となる。新しく開発した乾湿式相分離法により、無欠陥でかつ活性表面の膜厚が10nm程度の超薄膜層を有する非対称膜を作成した。薄膜形成はスピノ-ダル分解に従うことが明らかとなった。 (3)芳香族ポリイミド超薄膜(膜厚:10-1000nm)を対象に、二酸化炭素・メタン・窒素透過流量を、供給気体圧力1-20atm、温度35℃で測定した。気体透過性・分離性は薄膜化に伴い増大したが、薄膜化により高分子主鎖中の電子受容性基、電子供与性基の強い相互作用(電荷移動錯体)が形成され、その結果高い秩序性を有する高分子構造が発現し選択性が向上したと考えられるた。その詳細に関しては平成9度も引き続き検討する。
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