研究課題/領域番号 |
08458166
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
環境保全
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研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
長岡 昭二 東京都立大学, 工学研究科, 教授 (30254147)
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研究分担者 |
川上 浩良 東京都立大学, 工学研究科, 助教授 (10221897)
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研究期間 (年度) |
1996 – 1997
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キーワード | 含フッ素ポリイミド / 温室効果ガス / 気体分離膜 / 超薄膜 / 中空糸膜 / 乾湿式相転換法 / Wet Phase Inversion Process |
研究概要 |
地球の温暖化は、地球環境における最重要課題であり、世界のエネルギー政策、環境政策に重要な影響を及ぼす問題である。特に温暖化の主原因である二酸化炭素の分離回収は緊急に取り組むべきテーマである。これら温室効果ガスの分離プロセスの鍵材料として高分子膜が注目されている。 本研究では、高分子主鎖に電子受容部・供与部構造を併せ持つよう分子設計した芳香族ポリイミドに注目し、その高次構造を制御することによりポリイミド膜を透過する気体が"分子ふるい"的に分離されることを検討した。特に高い二酸化炭素分離性・透過性を目指した次世代の高分子膜として"分子ふるい"的な高次構造を有する新しい芳香族ポリイミド膜を作製した。乾湿式相転換法により作製したポリイミド超薄膜の二酸化炭素透過流量は著しく向上し、二酸化炭素の分離回収の条件である透過流量(>10・3cm3(STP)/cm2ScmHg)を越えた。また、その膜の選択性は緻密膜に比べ著しく増大し、膜が薄くなればなるう程分離性能は向上した。これは膜最表面での高分子鎖間の相互作用が増大し高分子凝集構造が促進された結果、表面特性を強く受け易い薄膜で気体分離性が増加したためである。 さらに二酸化炭素分離システムを実用化に繋げるため我々が開発した乾湿式相転換法を中空糸膜の作製に応用し、非対称構造を持ち表面が超薄膜スキン層からなる芳香族ポリイミド中空糸膜の合成を行なった。得られた中空糸膜の外径:約700um、内径:約500umとなり、外表面は気体分離活性を示す薄膜スキン層、内表面はスキン層の支持体となる多孔質層が形成されていることが確認できた。従来より非対称構造を有する中空糸膜の作製は困難とされていたが、乾湿式相転換プロセスを用いることにより超薄膜スキン層を有する含フッ素ポリイミド中空糸膜の作製に成功した。 以上より、ポリイミド膜は効果的に二酸化炭素を分離回収できることが明かとなった。
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