研究概要 |
フルオロカーボンによるオゾン層破壊やCO_2,SF_6などがもたらす地球温暖化に関心が寄せられている。これらを防止するためガス状汚染物質を放電プラズマを用いて分解処理する技術が展開されている。この場合,大気汚染ガスをそのままプラズマリアクタにより分解する際には,大気の主成分である窒素と分解除去しようとする物質との反応過程についても理解しておくことが重要になってくる。中でも,放電によって生成されるN_2の活性種の一つである準安定励起分子(A^3Σ^+_u)は,その寿命が長く,高い内部エネルギーを持っていることから,放電空間中での反応過程に種々な効果をもたらすものと考えられる。そこで,ガス状汚染物質による準安定励起分子N_2(A^3Σ^+_u)の脱励起反応速度係数を測定し,比較検討している。本年度は,CO_2について検討した。 CO_2は水蒸気に次いで大きな温室効果を示すガスであると言われており,日々の化石燃料の燃焼により着実に発生量が増加しているため,早急な対策が求められているガスの一つである。CO_2による衝突脱励起反応速度係数は10^<-13>オーダの値でありN_2(A^3Σ^+_u)からのエネルギー移動はN_2基底状態(X^1Σ^+_g)への場合より速やかであることがわかった。また,放電特性としてはCO_2が入ることにより純N_2中の場合よりN_2(A^3Σ^+_u)によるγm作用が抑制された現象が観測される。しかし,しばしばこれとは逆にN_2(A^3Σ^+_u)を介してCO_2との間で放電を助長するような現象も観測されているので,この点については今後も調べていく予定である。
|