1.メナキノンおよびユビキノンの側鎖のイソプレンユニットの長さをシリカゲル、逆相吸着ゲルなどの各種クロマトグラフィーを用いて分析し、野性株のそれとの比較を行ったところ、ヌル変異体のキノン類の側鎖が野性株と幾分相異する事がわかった。しかしながら、これまでのイソプレノイドの生合成研究からはこのような相異は炭素鎖の長さの上からは考えず、二重結合の幾何異性によることしか考えられず生合成の出発基質が異なることが示唆された。これに関しては種々の基質を用いて酵素反応を行う必要があり、次年度のテーマとして残されてしまった。 2.ヌル変異体の酵素を分離精製したところ、これまでに見出されていなかった新規な酵素活性が2種類見出された。これらの酵素存在量は微量であり、精製の都度そのクロマトグラムは変化したが、精製溶媒に界面活性剤トリトンを加えたところ均一に精製されることがわかった。その結果、新規の酵素のうち一つはオクタプレニルニリン酸合成酵素であり、もう一つは酵素欠損のファルネシルニリン酸をはじめそれ以上の長さのプレニルニリン酸を合成していることがわかった。この酵素が欠損酵素を代替しているか種々の検討を加えているところである。
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