研究概要 |
哺乳動物細胞のGPIアンカー生合成遺伝子群をすべてクローニングし、各反応ステップを解析することを目的としている。本研究では、まず第一ステップの3つのミュータント(クラスA,H,C)の遺伝子のうちまだクローニングされていなかったクラスCの遺伝子が出芽酵母の遺伝子GP12のホモログであることを見いだしPIG-Cと名づけたPIG-C遺伝子の産物は、297アミノ酸からなり、6-7回膜を貫通する疎水性に富んだ小胞体膜タンパク質であった。一方、他の2遺伝子PIG-AとPIG-Hの産物が小胞体の細胞質側で複合体を形成していることを証明し、生合成の第一ステップが細胞質側で始まることを生合成タンパク質の側から示した。 さらに、PIG-Cの産物もこの複合体に含まれることを証明した。 次に、第2ステップが欠損したCHO細胞株を相補するcDNAをクローニングし、PIG-L遺伝子と名づけた。PIG-L遺伝子の産物は252アミノ酸からなる小胞体膜タンパク質で、大部分が細胞質側に存在した。このことから、第2ステップも細胞質側で行われることが確認された。PIG-Lの産物は、PIG-A,-H,-Cの複合体に含まれていなかった。 第1ステップに異常がある出芽酵母の遺伝子GPI1のヒトとマウスのホモログをクローニングした。この遺伝子がGPIアンカー生合成遺伝子であるか確かめるために、マウスF9細胞で遺伝子ターゲティングを行っている。
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