研究概要 |
現在プロテオグリカンであると同定されている唯一の受容体型プロテインチロシンホスファターゼζ(RPTPζ)の脳形成における役割を明らかにするため、以下の研究を行った。 (1)PTPζリガンド分子の同定 6B4プロテオグリカンとPTPζは一つの遺伝子からRNA型スプライシングの違いによって生ずる。PTPζのリガンド分子を探す目的で、精製した6B4プロテオグリカンを用いてアフィニティー精製を行った結果、18-,28-及び40-kDaの3本のポリペプチドが回収された。この内18-kDa分子のN末のアミノ酸配列を決定したところ、プレイオトロフィンであることが明らかとなった。プレイオトロフィンによる大脳皮質神経細胞の神経突起伸展作用は抗6B4プロテオグリカン抗体で抑制されることから、プレイオトロフィンの受容体がPTPζであることが強く示唆された。 (2)ノックアウトマウスの作製 PTPζ遺伝子の第一axonにneo遺伝子を前向きに挿入したplasmidを構築し、これをES細胞に導入して相同組換え体を得た。次にこれらのES細胞株をマウス胚に導入後、子宮内に移植し、キメラマウスの作出に成功した。現在、引続いてキメラマウスを交配して、遺伝子変異が生殖系列にのったヘテロマウスの単離を試みている。
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