研究概要 |
1.ポリ(ADP-リボース)の合成阻害による癌細胞の分化誘導-テラトカルシノーマEC細胞の培養系にベスナリノンやPhIPなどの弱いポリ(ADP-リボース)システターゼ阻害剤を与えると,神経細胞などに効率よく分化誘導できることを見出した. 2.癌細胞の分化過程におけるポリ(ADP-リボース)代謝系の変動解析-テラトカルシノーマ細胞を誘導剤all-transレチノイン酸で分化させるとポリ(ADP-リボース)合成が著明に減少することが知られているが,これに先立ち,一過性に亢進すること,この亢進がシナテターゼの自己修飾によること,また自己修飾したシンテターゼ(115Kd)が速やかに限定分解され,アポトーシス特有の断片(85Kd)を生じることを見い出した. 3.癌細胞の分化に伴うアポトーシスの誘導-テラトカルシノーマ細胞をベスナリノンやPhIP,all-transレチノイン酸などで分化誘導させると,一方で核凝縮と断片化が特徴的なアポトーシス細胞を大量に生じることを見い出した. 4.ポリ(ADP-リボース)シンテターゼとDNA-PKの相互作用の発見-培養細胞に[^<35>S]メチオニンを与えたところ,シンテターゼ以外に数種の蛋白質が共沈澱されることを見い出した.さらに,その中にDNAPK (DNA依存性プロテインキナーゼ)が含まれること,また,このキナーゼが免疫沈澱複合体中でシンテターゼをリン酸化しうることを明らかにした.
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