キネシンスーパーファミリーに属するncdは、キネシンとは逆に微小管の一端に向かって運動する。両者の頭部の構造は、結晶構造解析により解かれているが、あまり大きく違わないので、運動方向を決定する要因として、頚部が関与するものと考えられる。そこで、キネシン頭部にncdの頚部をつないだキメラタンパク質を作製し、その運動性を調べたところ、ATP非存在下では微小管を結合するが、ATP存在したで微小管から解離してしまい、一方向への運動を観察することはできなかった。ATPase活性を測定すると、KcatおよびK50%MTsの値は、それぞれ7.8S^<-1>および0.22μMであった。同じ長さの頚部を持つキネシンフラグメント(キネシン頭部+キネシン頚部)のそれらの値と比較すると、キネシンのような連続的な運動ができないと考えられる。以上より、ncd頚部は一端への方向性を決定することはできないが、キネシン頭部の持つ+端方向への運動性をキャンセルできることがわかり、頚部が運動方向決定に重要な役割を持つことが明らかになった。
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