スイッチタンパク質の構造解析のために、高純度精製及び精製したタンパク質の結晶化の条件の検討を行った。FliNは従来の方法で比較的容易に大量かつ純度の高い試料を得ることができるので、国立遺伝学研究所の白木原康雄助教授との共同研究によって、その結晶化条件の検討を行ってきた。しかし、従来の方法で精製したタンパク質では同条件下でも擬結晶ができたり、できなかったりしたため、再度精製条件の検討を行う必要が出てきた。新たに検討した条件では、細胞質中に大量生産されたタンパク質を精製することを目的とし、擬結晶を得るための条件を検索した。その結果、以前とほぼ同じ条件で擬結晶が得られることを確認した。今後はこの系をさらに発展させることにより、FliNタンパク質のX線による構造解析を行う予定である。また、FliMに関しては、従来の方法で高純度のタンパク質の精製を実現したが、自己集合的な反応により溶解度の問題が生じてしまい、溶解度の向上を目指す必要が出てきた。一方、FliMについてはタンパク全長を扱うのではなく、機能ドメインを含む領域の精製を目指すべく、その探索を進めていく予定である。最後にFliGについては、精製条件の検討を行う予定であったが、ほとんどできないまま計画期間が過ぎてしまった。このタンパク質についても今後さらに研究を進めていくことにより、構造解析を目指していく。電子顕微鏡による構造解析や原子間力顕微鏡による観察についても、研究を継続しているが、今年度内には目立った成果は得られなかった。しかし、べん毛の機能に関する他のタンパク質については、一応の成果が得られ、雑誌論文に発表した。
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