研究概要 |
硫酸還元菌Desulfovibrio vulgaris Miyazaki F株のヒドロゲナーゼの結晶構造解析(空間群P2_l2_l2_l,a=101.5,b=126.5,c=66.5P90)を多重同形置換法に多波長異常分散法を組みあわせて独立に進め,1.8Å分解能における立体構造決定に成功した。このとき分子マスクを用いた溶媒領域平滑化で初期位相を改善し、最終的には2.8Å分解能で全構造を決定した。精密化はブログラム、S-PLORを用いて進め、現在1.8Å分解能の精密構造を明らかにしている。 3個の鉄-イオウのクラスターは全て小サブユニットに保持され、ニッケル原子と新たに見つかった鉄原子は大サブユニットに保持されている。鉄とニッケル原子はそれぞれの原子の異常分散を測定したネイティブ結晶の回析強度データを用いて同定した。ニッケル原子は4つのイステイン残基のイオウ原子が配位し、そのうちの2つのさらに鉄原子に配位子している。また、鉄原子はさらに3本のタンパク質由来でない2原子分子により配位されているようである。電子密度を詳細に検討したところこれに加えてさらに新たな金属中心を見つけた。
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