研究概要 |
硫酸還元菌Desulfovibrio vulgaris Miyazaki F株のヒドロゲナーゼの結晶構造(空間群P212121,a=101.5,b=126.5,c=66.5Å)精密化を1.8Å分解能において完了した。精密化はプログラム、X-PLORを用いて行い、1.8Åの反射57,233個における結晶学的なR-因子は0.229であった。1分子中に641個の水分子を同定した。また、新たに鉄原子およびマグネシウム原子と思われる電子密度ピークの存在を確認することができた。鉄原子については異常分散効果を利用してその存在を証明することができた。さらに、この鉄原子には4本の非タンパク質由来の配位子が結合していることが分かった。これらのうち1本は1原子からなり、ニッケルと鉄原子をブリッジしていた。これは単独のイオウ原子であると考えている。また、残りの3本は2原子分子であると思われる。このヒドロゲナーゼ分子を持つ硫酸還元菌が偏性嫌気性菌であることおよび、立体構造原子パラメータ、赤外吸収スペクトル、熱脱着-マススペクトルなどの結果から総合的に判断して1本は、S=0、他の2本は、C≡OかC≡N、あるいはこれらの混合物ではないかと考えている。マグネシウム原子はICP-AES(Inductively couppled plasma-atomic emission spectroscopy)法により同定することができた。精製酵素中にはニッケル原子1個み対して、鉄12個、マグネシウム原子0.5個を同定した。
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