線虫C.elegansの感覚神経細胞の形態形成に関与する遺伝子osm-3のクローニング及び構造解析を行った。 osm-3の遺伝マッピングを詳細に行い、コスミドゲノムクローンによるC.elegans染色体地図との対応を行った。対応する領域のコスミド10クローンのDNAを調整し、それぞれをosm-3変異株の卵巣に微量注入して変異の回復を調べたところ、FITCによるamphidneuronの蛍光染色を野生株同様に回復させたコスミドが一種類得られた。さらにこのコスミドの制限酵素断片による形質転換実験を同様にして行い、最終的に4.3kbのSacIフラグメントがosm-3の形質転換能を保持していることが判明した。 4.3kbSacIフラグメントの塩基配列を一部決定し、そのオープンリーディングフレームの解析から、osm-3遺伝子産物は新規な蛋白質であり、kinesin重鎖と相同性を有することが明らかになった。両者の相同性がATPase部位や微小管結合ドメイン等機能的に重要と思われる部位において最も高いことから、osm-3がkinesinスーパーファミリーに属すると考えられる。osm-3の全塩基配列の決定を行い、発表した。 さらにkinesin heavy chainをコードする遺伝子unc-116とlacZレポーターを結合して形質転換することにより、細胞内局在様式を明らかにした。この形質転換株とosm-3変異体を交配することにより遺伝的相互作用を調べた。
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