線虫C.elegansの遺伝子osm-3及びklp-3の構造解析を行った。 osm-3の遺伝子マッピングを詳細に行い、対応する領域のコスミド10クローンのDNAを調整し、さらにこのコスミドの制限酵素断片による形質転換実験を行い、最終的に4.3kbのSacIフラグメントがosm-3の形質転換能を保持していることが判明した。 4.3kbSacIフラグメントの塩基配列を一部決定し、そのオープンリーディングフレームの解析から、osm-3遺伝子産物は672アミノ酸のキネシン様タンパクで、マウスのKIF-3、ウニのKRP85/95モータータンパクと高い相同性を持つことが分かった。osm.3::lacZレポーター遺伝子を形質転換により導入し、インナーラビアルニューロン、アンフィドニューロン、フェスミドニューロン等の外部環境に接触する26の化学感覚神経で発現することを確認した。 klp-3遺伝子のATP結合部位から微小管結合部位をPCRにより増幅し、配列を調べたところ、酵母のKar3とショウジョウバエのncdとC末端側で相同性を持っていた。klp-3の過剰発現は性染色体の不分離によるオスの発生を抑えた。klp-3アンチセンスRNAの発現は胚発生を停止させた。これらの結果はklp-3が染色体の分離に必要であることを示唆している。
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